本研究の目的は、放射線療法を受ける頭頸部がん患者の口腔粘膜炎の重症化を予防する看護プログラムを開発することである。 本年度は、放射線治療の経過に応じた口腔粘膜炎の重症化を予防するためのプログラムの試案作成とプログラムの妥当性の検討を行うこととした。平成27年度の調査では対象数が少なかったため、放射線療法を受ける頭頸部がん患者の対象数を増やして追加調査した。さらに、放射線療法を受ける頭頸部がん患者が治療完遂に至るまでの自己管理に関する様々な課題を明らかにした。放射線療法を受ける頭頸部がん患者への調査より、患者の自己管理行動を困難にすることとして、口腔粘膜炎が軽症あるいは重症であること、口腔粘膜炎やそれに関連する苦痛な症状の緩和の体験や手ごたえが得られにくいこと、医療者に体験している症状を伝えること等が明らかとなった。また、本調査と先行研究結果より、患者が体験する口腔内の変化と対処法について患者向けに作成し、閲覧可能な患者向け説明資料を作成した。プログラム運用にあたって、口腔内の状態は累積照射線量20Gy以降、10Gy毎に大きく変化することが示唆され、口腔内の状態が大きく変化する時期に対面による支援が有効であると考えられた。 作成したプログラム案の内容や運用に関して医療従事者からインフォーマルな意見聴取により、根拠となるエビデンスを分かりやすく伝えることが改善点として挙げられ、プログラムの内容や運用上に関しての修正を加えている段階である。
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