昨年度まで行っていた研究協力者との打ち合わせ、倫理審査の申請を経て平成28年度は、修正版グラウンデッドセオリーを用いた質的研究を実施した。データ収集前、仮の分析テーマとして「看護師は、終末期がん患者の輸液療法について代理意思決定を行う家族へどのような支援を行っているのか」を掲げていた。だが、インタビューに伴い、家族にとって輸液が治療として行われているという関心が低く、代理意思決定という形をとっている事例は少なかった。逆に、多くの事例において医療者側が輸液の減量・中止の提案をし、それに家族が同意するという「合意」を得ることが自然なプロセスであると考えられたため、最終的に「看護師は、終末期がん患者の輸液療法の減量・中止をする際に合意形成が図れるようどのような支援を行っているのか」を分析テーマとした。以上のことから、本研究を「終末期がん患者の輸液を減量・中止する際に看護師が行う合意形成支援プロセス」というタイトルに変更し、分析を行った。結果として対象者は、機縁法により選ばれた2県4施設の30代~50代の看護師10名であり、全員女性であった。インタビュー時間は33~50分であり、平均インタビュー時間は42.4分であった。生成された概念は17であり、6カテゴリーが生成され、1概念はカテゴリーと同等の説明力をもつ概念であった。結果図、ストーリーラインも作成し、現在投稿の準備をしている段階である。また、この結果を踏まえてワーキングメンバーと最終的な意思決定支援ガイドの作成と実施・評価について検討を進めていく予定である。
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