研究課題/領域番号 |
26861903
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
佐竹 陽子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90641580)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 救急看護 / 終末期 / 葛藤 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、救急領域における終末期ケアの在り方を検討する基礎資料として、終末期ケアに携わる救急看護師の態度とその実践を、救急看護師としての役割葛藤に焦点をあて明らかにすることである。 平成26年度は、本研究のテーマについてWalker & Avantの手法を用いて概念分析を行い、その結果、終末期ケアを実践する救急看護師の役割葛藤を、「患者・家族・医療チームにおける矛盾・対立したケアの要求や実践、役割遂行に対して抱く負の感情」と定義した。 次に、実態調査として、救急看護に従事する看護師で、救急患者の終末期ケアを実践した体験を有し、本研究参加に同意を得られた看護師11名を対象に、実践した終末期ケアや実践するときに抱く価値や葛藤について、半構造化面接を実施した。面接で得られたデータから逐語録を作成し、救急看護師が終末期患者に実践する整容ケアに焦点をあて、ケアに対する看護師の認識を明らかにすることを目的に質的帰納的に分析を行った。結果として、救急看護師は患者の整容ケアを通して【意思表示できない患者の望みを推し量りその人らしい最期を迎えられるようにする】【無念の死の中に家族が救われる一瞬をつくる】ケアを実践していたことが明らかになった。また【救急看護師として死に立ち会うものの責任を果たす】意思をもつ一方、【救急という特殊な環境での多様な背景と家族の反応に戸惑う】という感情を抱きつつ、【みえないケアへの評価に自分なりの答えを見つける】行動をしていたことが明らかになった。 次年度は、実態調査の結果から、救急看護師が終末期ケアを実践するときに抱く葛藤に焦点をあてて再度分析を進め、質問紙調査を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、面接調査によって救急看護師の終末期ケアの様相を明らかにすることができた。今後、救急看護師が終末期ケアを実践するときに抱く葛藤に焦点をあて再度分析を進める必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究から得られた救急領域における終末期ケアに対する看護師の葛藤について、その影響要因や因果関係について明らかにするために質問紙調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に計上していたデータ入力、分析のための統計ソフトは、最新のデータ処理能力があるソフトが必要であると考え、次年度に繰り越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費の使用は、調査票郵送費、成果発表のための交通費、報告書作成のための印刷費等である。
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