研究実績の概要 |
本研究の目的は、造血細胞移植後に慢性移植片対宿主病(Chronic Graf-versus-Host disease,以下、慢性GVHD)を発症した患者の家族の体験を明らかにすること、さらに患者と家族を対象とした支援プログラムを開発することであり、3段階で構成されている。 第1段階:2014年~2015年度は、造血細胞移植後に慢性GVHDを発症した家族の研究動向を把握し、家族支援プログラムの基礎資料とすることを目的に文献検討を行った。慢性GVHDを発症した家族に特化した文献は抽出されず、造血細胞移植後の患者の家族を対象とした文献を検討し現状を整理した。本邦においても家族の体験を明らかにした研究は少ない状況にあった。文献検討の結果は、2016年日本造血細胞移植学会総会にて発表した。 第2段階:2016年度からは文献検討結果を踏まえ、造血細胞移植後に慢性GVHDを発症した患者の家族の体験を明らかにするためにインタビュー調査を行った。2017年度の前半は、前年度にひき続き患者会の協力を得て、インタビュー施設を拡大し調査を継続した。慢性GVHDを発症した患者を支える家族は、患者の回復を願いながら家族として何ができるかを考え続けていた。さらに経済的基盤を整えるため、家族が就労しているため、患者の通院に同席できず、家族は患者の状況が理解できず、先の見えない不安やどこまで何を配慮したらよいか戸惑い悩んでいることが明らかとなった。インタビュー調査の結果は、平成30年2月第32回日本がん看護学会学術集会にて発表を行った。今後関連学会に投稿を予定している。 第3段階:第1・2段階の分析結果を踏まえ、造血細胞移植後に慢性GVHDを発症した患者と家族の相互理解を促進する要素を含めたプログラムを構築した。今後は開発したプログラムの有用性を評価する予定である。
|