近年、手術後の早期離床は多くの有効性が示されているが、一方で離床時の循環動態の変調が問題になることも少なくない。要因として、自律神経活動への全身麻酔の影響が推察されるが検証はされていない。 本研究は、全身麻酔を受ける手術前、術後1日目、術後3日目において、離床行動における循環動態の指標と自律神経活動を評価した。体勢の変化による一回拍出量と心係数は有意な変化は認めなかったものの、術後1日目の仰臥位から立位において、副交感神経活動は有意に下降し、関連因子は全身麻酔と併用される鎮静剤の量であった。また、同日の交感神経活動は有意に上昇し、その変化率を規定する指標は手術中の水分出納であった。
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