研究実績の概要 |
本研究の目的は,「ICU看護師における家族に対する終末期ケア(仮)」の尺度を開発することである.House(1981)のソーシャルサポート理論の定義を参考に,尺度名を「ICU看護師の家族サポート」とし,構成概念について①環境調整サポート(9項目)②情緒的サポート(7項目)③情報提供サポート(11項目)④評価的サポート(5項目)の4因子を一次因子,「ICU看護師の家族サポート」を二次因子とする二次因子モデルを想定した。統計解析は,因子構造モデルの側面から,構造方程式モデリングによる確認的因子分析で検討した.因子モデルのデータに対する適合度の判定にはCFIとRMSEAを採用し,推定法にはWLSMVを用い,統計解析にはSPSS22とMplus7.3を使用した.関西福祉大学の倫理審査の承認を得て実施した(承認番号:27-0783).日本集中治療医学会の研修医研修認定施設に登録されているICUを有する病院から,無作為に抽出した100施設のICU勤務看護師1000名を調査対象とした.結果:統計解析には,分析に必要なすべての調査項目に欠損値を有さない323名分(有効回答率88.5%,男性13.3%,女性86.7%)のデータを使用した.ICU看護師の家族サポート尺度について,想定した4因子二次因子モデルを確認的因子分析により検討したところ,適合度指標はCFI0.948,RMSEA0.069であり、すべて統計学的に優位な関連性を示していた.このときの第二次因子から第一次因子に対するパス係数,第一次因子から観測変数へのパス係数はいずれも正値であり,二次因子から第一次因子へのパス係数は0.839-0.959の範囲にあった.本研究では,「ICU看護師の家族サポート尺度」がデータに適合することを明らかにし,概念的一元性を備えた測定尺度が開発できたといえる.
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