研究課題/領域番号 |
26861914
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
北村 有子 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (10364035)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん看護学 / がん薬物療法 / 副作用症状 |
研究実績の概要 |
1. 併用療法の選定と既存情報の整理 通院治療センターで実施しているレジメンについて、過去約4年分(合計約8,800レジメン(1レジメン/1患者))を整理した。使用頻度の高いレジメンは約50で、その中から、がん種、予測される副作用症状が偏らないことを考慮して、4レジメンを選定した。これまで入手した資料のうち、製薬企業が作成・発行している患者向け冊子は、主に単剤に関するのもので、併用療法のものは少なかった。使用頻度の高い併用療法レジメンに関する資料(冊子)は、各病院で独自に作成されていることが多い。冊子の構成では、副作用症状の一覧表示の工夫として、「患者さんが自覚することができる副作用」と「検査でわかる副作用」の区別や、臓器別(全身、消化器、神経など)、出現時期順に掲載する方法が見受けられた。
2. 副作用症状の評価メモ作成 PRO-CTCAE(Patient-Reported Outcome)の文献検討を行った。近年、医療者によるアウトカム評価だけでなく、患者自身による主観的評価の重要性が強調されている。医療者が有害事象評価でスタンダードとして利用しているCommon Terminology Criteria for Adverse Events version4.0 (CTCAE v.4.0)日本語訳JCOG版に準じて、ルールに従って、患者向けの表現に変換し、患者向け評価基準を作成した。CTCAE v.4.0のGrade(重症度)は5段階に分類されている。本研究では患者向け評価基準として、0「全く症状なし」と新たに定義し、0から3の4段階とした。患者の自覚症状に限定し、各診療科共通で利用できる34項目を作成した。医師、薬剤師、看護師から意見を収集し、さらに表現を洗練させた。A3判に、副作用症状約10項目を一週間分記載できる様式に整え、4レジメンの評価メモを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに4レジメンの評価メモを作成した。標準化を図って作成したので、今後、標準形式の内容確認と修正が済めば、比較的容易に多数のレジメンに対応できる。
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今後の研究の推進方策 |
調査研究を計画し、所属施設の倫理審査委員会の承認を受けた。具体的には、これまでに作成したうち3つのレジメン、約40名の患者を対象に、3コース間、評価メモの記録を依頼し、回収率や未記入率を確認する。患者背景や治療歴(性別、生年月、がん種、病期分類、がん薬物療法施行歴)などは電子カルテより収集し、回収した記録と照合して傾向を分析する。また、使い勝手について、患者および医療者から意見を得て、標準評価項目の修正を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目は、作業の効率化を図るため、標準化の作業を進めた。大量データを扱う内容は次年度とし、データ処理用に計上した費用を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に、対応レジメン数を増やすにあたって、作業を効率よく進めるために、パソコン、データベースソフトウエア、統計ソフトウエアを準備する。
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