患者、医療者の意見を踏まえ、薬物療法に関わる全診療科で共通使用可能、かつ患者の言葉で副作用グレードを表現するための患者用副作用評価基準を修正した。当初、患者が自覚できる副作用項目に限っていたが、患者、医療者ともに共通認識をもつことで、副作用症状の重篤化の抑制につなげることができると考えて項目を追加し、最終的には、自覚できる副作用51項目、検査でわかる副作用10項目の合計61項目を完成させた。研究成果の一部は、論文化し公表した。 副作用の実態把握のための患者用副作用記録用紙は、昨年度実施した臨床研究の結果を踏まえ、記入と持ち運びをより簡便にするため、A3判片面からA4判両面に形式を変更して作成した。1枚に1週間分の記載ができ、副作用のグレードは0(症状なし)~3(重度の症状があり治療を要する、または身の回りの日常生活に支障がある)の4段階で評価する。 また、患者から得た副作用自己評価データを蓄積するシステムを検討し、構築を行った。このシステムは、省力化を図り継続運用に繋げることを構想して、患者用副作用記録用紙の管理・印刷、記録(マークシート)の読み込み、データベース登録・管理、集計結果を出力する機能を有する。 施設において使用頻度の高い化学療法レジメンを調査し、複数の診療科の協力を得て約30種の副作用記録用紙を作成した。2017年度中に運用を開始する予定で、作成したシステムを用いてデータ蓄積・分析を行うことにより、実態把握および患者評価に基づく副作用に関する情報提供が可能となる。
|