平成28年度は、産後1か月の女性への栄養指導介入による栄養素摂取量、抑うつ症状への効果の検証を目的として、平成27年度から継続して調査を行った。 方法:平成27年6月~平成28年7月に、都内大学病院の産後1か月健康診査を受診する女性を対象にランダム化比較試験を実施した。産後1か月時に属性や精神状態についての質問紙調査を実施するとともに、食事歴法質問票により栄養摂取量を算出した。ベースライン調査後、介入群には、産後1か月時の栄養素摂取量の個人結果と、産褥期・授乳期の食事の留意点に関するリーフレットを自宅に郵送した。アウトカム調査として、産後3か月時、産後6か月時に栄養摂取量および抑うつ症状についての質問紙調査を郵送で実施した。対照群には、産後6か月の調査終了時に、各調査時期の栄養素摂取量の個人結果と食事の留意点に関するリーフレットを郵送した。 成果:包含基準を満たす女性442名に研究概要を説明し、296名から研究協力の同意を得た。この296名をランダムに介入群149名、対照群147名に割り付けた。対象者の平均年齢は介入群35.5±4.7歳、対照群35.1±4.5歳、初産婦割合は介入群59.6%、対照群62.5%であった。産後1か月から6か月までの栄養素摂取量の変化量を2群で比較した結果、カルシウム、鉄、コレステロール、総食物繊維等の一日当たり摂取量が介入群では有意に増加していた。抑うつ症状については、2群間で有意な差は見られなかった。 研究成果の公表:国際学会で、本調査の結果の一部を発表した。現在、論文投稿中である。
|