I. 早産児への音環境に関する自記式質問紙調査(郵送法) 新生児集中治療室で勤務する看護職者70名(新生児科勤務経験:4.5±4.7年)に実施した.【早産児に適した音環境に関する知識】経験年数を問わず「分からない」の回答が多かった.また,教育背景(Basic群:看護基礎教育のみ,Advance群:看護以外の国家資格・学位・認定証を保持)を考慮しても,正答率に統計学的な有意差はなかった.【在胎23~24週の早産児(入院時)への音に関するケア】Advance群はBasic群より,回答内容のばらつきが少なく,早産児に関する具体的な判断指標が多く自由記載されていた.「親の声掛け」「病棟内の音楽」「クベース内で録音した親の声の再生」は,Advance群は全員が控えると回答し,Basic群と統計学的な有意差をみとめた.【労働環境としての評価】12名(24%)の看護職者から,業務に支障が生じている現状のコメントがあがった.【ケア内容と対象背景との関連】対象の背景(教育・ケア理念への理解)とケアの実践との間に,明らかな有意差はなかった.よって,ファミリーセンタードケアやディベロップメンタルケアの理念の教育のみならず,(音)環境に関する知識,個別性のある具体的なケアアレンジに関する教育,検証するためには評価指標の定量化が必要であると示唆された. II. 新生児の音環境に対する反応の定量化 差分を用いた画像分析により,高い周波数・音圧レベルであったnasal-DPAP群の方が,HFO群に比して体動時間が長いことが明らかになった.今後,撮影時間の延長,撮影条件の改善により,体動時間や大きさの測定の精度が高まることも示唆された.
3年間の取り組みより,(音)環境に関する知識や具体的なケアアレンジに関する教育の充実が,早産児のストレス低減を図るディベロップメンタルケア促進になると示唆された.
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