研究課題/領域番号 |
26861922
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岩崎 三佳 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (70584176)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 産科混合病棟 / 文献検討 |
研究実績の概要 |
平成28年度の成果としては、新たな先行研究の分析を行い考察に必要な新たな示唆を得た。2016年1年間における産科を含む混合病棟の研究においては、文献の数は19件、種類としては、原著論文2件、解説1件、会議録16件であった。内容としては、産科混合病棟にける業務管理に関するものが最も多く10件であった。内容としては、分娩と他科の看取りの重複のケース関連する報告が4件、次いで産科混合病棟における看護量に関するものが4件、うちを実測したものが2件、看護量の測定方法の研究に関するものが2件であった。その他緊急帝王切開に向けてのアクションカードの効果についての報告が1件、産科混合病棟における看護職者と患者双方向の認識を比較したものが1件であった。次いで多かったものは、病棟管理に関するが4件であった。通常業務の内容が2件で、ユニットマネージメントに関するものや看護管理者が実際に行っている看護管理に関して各1件であった。残りの2件は、災害時の対応に関しての病棟の取り組みに関しての報告であった。助産師の職務意識に関しての報告は3件で、産科混合病棟で勤務する助産師が必要と考えていることに関する質的研究が1件、産科混合病棟で勤務する助産師の職務満足度に関して2件あった。 傾向としては、分娩期を中心として産科混合病棟において起きている事象を示したものが多く、他科との重複が起きている現状についての報告が最も多かった。過去になかった研究の特徴としては、4月に熊本地震があったことの影響を受けて、災害が生じた際の対応に関して備えていることについての報告が見られていた。 研究開始当初は、病棟管理としてはユニットマネージメントの導入の有無の視点が中心であったが、今後災害などの非常に対応できるというのも病棟管理上重要な視点であるため、データの分析時に視野に入れて考察していくことを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度の休職・退職者による学内業務のエフォート上昇の影響を受けた状態によって研究の進捗が遅れている中、平成28年度の学内の新たなコースの開設に伴う教育エフォートのさらなる上昇が研究環境の変化があった。そのため現時点での研究課題の進捗は遅れている。 当初平成28年度の計画としては、先行研究等を分析し、新たな研究視点の洗い出しを行い、看護職員に対するデータ収集の準備を進め、配布まで予定していたが、質問紙の見直しに時間を要して配布までには至らなかった。現在は質問紙を見直しそれに伴い、再度倫理審査を受けている状況にある。またスケジュールの遅れによる、データ収集方法の再検討等も同時に進めている。研究の遅れに伴うスケジュールの再調整を行い、質問紙の倫理審査が終了次第、産科医療保障制度に登録している施設に対して、看護職者に対する調査依頼を行う予定としている。 また、産褥期の褥婦に対しての質問紙調査を計画していたが、調査依頼を行っていた施設が、分娩取り扱い中止に伴い調査フィールドとして使用できなくなり、新たな研究協力施設を開拓中である。今後研究協力が得られる施設が研究期間中に確保できれば、褥婦に対するインタビューを行い、質的にデータを用いて分析を行い研究課題の目的の達成を目指す。もしフィールドの開拓が困難な場合には、看護職者側のデータと先行研究とを統合して分析することによって双方向から看護の質について考察できるよう、分析方法に関して検討を行う。 平成29年度は、2年目になるため、教育エフォートの軽減に伴う研究エフォートの上昇が期待できる。そのため遅れを取り戻しながら、効果的に研究課題の遂行を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、平成28年度に作成した質問紙を基に郵送法にて産科混合病棟における正常新生児ならびに産褥期に提供されている看護とケアを受ける側のニーズに関しての実態調査を行うことを目指す。収集したデータに関しては、Donabedianの医療の質評価の3つの指標を用いて分析を行う。構造指標では産科を含む混合病棟の診療科の編成や看護職員の勤務環境などを調査する。そこから産科を含む混合病棟におけるシステムの特性を明らかにし、診療科が混合していることによって看護職の配置方法や混合病棟に応じたシステムの運用について分析を行う。過程指標としては、看護職員の提供している看護についての自己評価を用いて正常新生児・産褥期の対象に提供されている看護を測定し、産科を含む混合化によって、提供されている看護の特性について分析を行う。評価指標としてはインシデント・アクシデントの有無について調査する。またインシデント・アクシデントに至らないまでも産科を含む混合病棟でケアを提供している環境や状況から、看護の質に影響を与える要因がないかを分析する。 また看護を受ける側である、正期産新生児・褥婦側の調査を行う。褥婦の質問紙調査を行う予定であった施設において分娩取り扱いがなくなり、フィールドとして使用できなくなったため、新たな研究協力施設の開拓を行っていく。インタビューが可能であれば、産科を含む混合病棟でケアを受けることを対象がどのように受け止めているかについて、質的なデータをもとに分析を行う。開拓が困難な場合に関しては、先行研究などを用いて、産科を含む混合病棟の対象の特性について分析を行い、そしてこれらの3つの指標の関連性や質的なデータを統合することによって、産科混合病棟の看護体制に関して総合的に分析することによって、看護の質を担保するための人員配置の要因を明らかにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額が出た理由としては、平成27年度から続く教育エフォートの上昇に伴う調査の延期によるものである。郵送法による調査開始を進めていたが、前述に理由により調査開始するための調整が整わなかった。そのため平成28年度の実施に至らず、研究費を効果的に執行し研究成果を出すために、平成29年度までの研究延長を行った。また最終年度として、研究成果発表の為の予算も計上していたが、調査が遅れたため成果の発表に至らず、調査にかかる費用と成果発表に関する費用についての差額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度繰り越した研究費に関しては、次年度実施する調査に関連する費用として利用することを計画している。次年度に繰り越した調査で必要になってくるものとして、新たなフィールド開拓と調整に関連するための交通費、郵送法によって行う質問紙調査に関連必要経費、それらに関連する通信費、調査結果の入力に関して依頼を行うための人件費として利用を計画している。また研究成果の発表に伴う学術集会への参加費としての使用を検討している。 研究を適切に進捗させ、次年度配当される金額と合わせて、適切に運用ができるように心がける。
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