海外において、産科混合病棟に関する研究が無く、日本特有の問題であることがわかった。国内においては、2004年から2007年ごろまでは、ケア不全感や業務管理、感染の問題、他科の患者への影響など、混合病棟で生じている問題を報告するという傾向があった。その後一度研究は減少するが、2012~2014日本看護協会が提言しているユニットマネージメントの作成やその導入に関しての文献が2013、14年を中心に急激に増えていた。これらの現状をもとに、質問紙調査を行った。対象は、全国地域周産期センターに認定されている施設の中で、産科混合病棟として病棟を運営している施設を対象とし、33施設の病棟管理者ならびに産褥・新生児期の看護担当者に質問紙を配布した。 19施設の病棟管理者から回答が得られた。診療科の混合状況としては、2~12科と非常に幅広く、診療科ではなく性別が基準になっている施設もあった。他科の入院の基準がある施設は約半数であった。このような状況の中で、ほとんどの看護管理者が病棟の運営に困難を感じており、以前から問題視されていた「感染」や「ケア不全感」も引き続きあるが、院内全体の中での「ベッドコントロール」に関して、困難を感じていた。産褥・新生児看護担当者は111名に協力が得られた。その中で産後の母子に対して、現状では時間やマンパワーが足りず十分にケアができていないと感じていた。その中でも特に「母乳育児に関するケア」が記述されていた。また褥婦がナースコールなどから病棟の状況を察しケアを遠慮する場面もあった。 産科混合病棟における産褥・新生児期のケアは、病棟管理者・看護担当者・母子の努力で何とか現状を維持している現状にあるが、育児期に向けてのケアの質を考えた場合、生命の危機以外の優先順位を考慮しケアを実践できる環境を整えていくことが重要であるといえる。
|