軟骨無形成症者が生涯自立した生活への早期介入の示唆を得るために調査を実施した。社会生活を送る上で生じる葛藤という側面からインタビュー内容を分析し、必要になるセルフマネジメント、自己効力感を向上させる要因となる出来事について抽出した。 出生~幼少期:出産前に、手足が短いことを指摘されたが、疾患名を告げられず、母親は不安を抱えたまま出産日を待たなければならなかった。出生後確定診断がついてからも、医療機関からの情報提供はなく、母親が情報収集をし、療育支援を得るまでに時間を要する現状があった。社会において疾患の認知度は低く、自宅の最寄りの保育園から入園を拒否され複数の保育園をあたり、遠方の保育園に通園することになった。関節が弱く、同年代の子どもと比べ歩行すると疲れやすい子どもの送り迎えなど保護者の負担は大きかった。 学童期:低身長であることから、学校の改修が必要となるが、学校によって対応が異なっていた。また、医療機関と学校との連携はなく情報共有が難しいため、子どもが学校生活を安全におくるための方針を、保護者も学校関係者も立てにくい現状があった。 就職・社会生活:軟骨無形成症者は骨延長術を行っても、平均以下の身長であることも多く、就職をする際に、障がい者手帳を携帯していることで自立できる可能性が広がる。障害者手帳交付に必要な診断書の発行は受診している主治医の見解にゆだねられている現状があった。また、年齢を経るに従い、脊柱管狭窄症や、排泄の問題が、通常より早く出現する可能性が指摘されているが、当事者がその知識を得る機会がなく、予防・早期介入の体制も整備されていない。 疾患への理解が低いこと、一定したセルフマネジメントがないことが、小児の社会活動を制限している可能性がある。一方で、得意なことに目を向け支援する、保護者が積極的にサポートを獲得することが小児の自己効力感につながると考えられた。
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