本研究は、稀少な染色体異常症(染色体構造異常症)を対象に、看護支援プランを構築することを目的に実施した。 その一つとして、稀少な染色体異常症(構造異常症)のある児の母親を対象としたインタビュー調査を実施した。平成26年度、27年度から継続して、稀少な染色体異常をもつ児の家族会や、母親への調査依頼を行い、最終的に16名の母親からインタビュー調査の協力を得た(それぞれ1番染色体起因の疾患をもつ児の母親が6名、2番が2名、13番が3名、22番が3名、16番が1名、18番が1名であった)。インタビュー内容はM-GTA(修正グランデッドセオリーアプローチ)の手法を用いて分析を進めており、研究成果の一部を日本遺伝看護学会の学術大会において報告した。現在、論文を執筆中である。 二つ目に、稀少な染色体異常症にみられる症状に関する調査を実施した。遺伝疾患データベース、OMIN、および国内外の先行文献を調査し、稀少な染色体異常症(染色体構造異常症)347疾患の症状に関する情報を収集した。今後は、この内容をまとめ、資料として報告する予定である。 三つ目として、稀少な染色体異常症に対する看護の実態調査を計画した。これは研究期間中に遂行することができなかったため、今後も引き続き調査を続ける予定である。 本研究を通して、稀少な染色体異常症のある児や母親をはじめとした家族のおかれる状況が明らかになった。今後看護職を対象とした調査を進め、看護の実態を明らかにし、稀少な染色体異常のある児や家族に対する看護の方策を打ち出していく。
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