本研究では、死産・新生児死亡を経験した父親を対象に質的研究を実施することにより、1.死産・新生児死亡を経験した父親が児の死を受け止め、日常生活に適応していくプロセスを明らかにする、2.死産・新生児死亡を経験した父親のケア・ニーズを明らかにする、3.父親独自に必要な支援方法を明確にすることを目的とした。 平成28年度は、平成27年度に引き続き対象者の選定と面接協力依頼を行った。最終的に死産を経験した12名の父親から面接協力の同意が得られ、インタビューガイドを用いた半構成的面接を実施した。そして、面接により得られたデータを逐語録化し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて継続比較分析を進め、「死産・新生児死亡を経験した父親が児の死を受け止め、日常生活に適応していくプロセス」を分析した。また、父親のケア・ニーズに関しては意味内容の類似性に従ってカテゴリー化した。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた分析に関しては、2か月に1度開催される実践的グラウンデッド・セオリー研究会(M-GTA研究会)に参加し、分析手法の精度向上に努めた。また、関連学会に参加し、周産期のグリーフケア、父性意識の発達に関して情報収集を行った。 本研究の結果、助産師は、死産を経験した父親に対して、父親として、また、夫としての苦悩を理解し、ケアする必要性が示唆された。また、亡くなった児の父親であることを実感できるように関わる必要性が示唆された。
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