本研究は採血・予防接種を受けた幼児(3-7歳)の「がんばった」を評価するための尺度を開発することを目的として行われた。 最終年度である今年度は小児を対象に看護を提供している臨床看護師へのアンケート調査を行い、因子分析を行った。その結果、採血・予防接種を受けた幼児の「がんばった」を評価するための尺度が完成した。 具体的な尺度の内容としては「がんばった」を構成する因子が3つ見出され、具体的な言動が16項目見出された。 具体的には第一因子として<抜針後の充足感>第二因子として<主体的な採血・予防接種への参加>、第三因子として<不快な情動の表出>であった。<抜針後の充足感>は抜針後に表情が明るくなる、抜針後に穿刺部を大人に見せる、抜針後に「痛くなかった」と言う、医療者に自分はがんばったどうかを確認する、ご褒美をもらい喜ぶ、抜針後に医療者にお礼を言う、抜針後に安堵感を示す表情をする、という幼児の言動で構成された。<主体的な採血・予防接種への参加>は椅子に座る、処置室の中にいつづける、採血・予防接種を受けるために腕を出す、動かないで同じ姿勢を維持する、医療者の話を聞く、採血・予防接種を受けることに対して抵抗していた力を弱める、という幼児の言動で構成された。<不快な情動の表出>は不安な表情を浮かべる、穿刺中に痛みを表出する、「恐怖」の気持ちを表現する、という幼児の言動で構成された。 作成した尺度を用いることでよりよいケアを幼児本人や保護者と話し合う基盤を構築することが期待できる。例えば、post procedure playの一部として、大人からの視点としてがんばっていたことを伝えられる、あるいは、次はどのようにしたらよいかということを近い将来にまた採血・予防接種がある幼児と振り返りながら話し合うことができる。
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