本研究は、硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した女性たちがネガティブな認識を抱くことがなく、妊娠・出産・育児が迎えられるために心理的ケアモデルの開発と試作を行うことを目的とした。1.硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した女性のself-esteemに関する調査、2.硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した女性の育児に関する調査を行い、3.硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した女性に対する心理的ケアモデルの開発と試作を行った。対象者は無痛分娩を選択し出産した女性であり、出産直後から出産3.4か月までの縦断調査である。 1.硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した女性のself-esteemに関する調査 出産後は、痛みからの解放、夫や家族の承認、心理的余裕等の無痛分娩での出産体験の肯定的評価を高め、また子どもへの愛情を自らの体験より実証し、自分自身の出産方法の選択が間違いなかったという確信を得ていた。自尊感情では、出産直後の平均37.71±6.65、出産1ヵ月後は38.47±6.53、3-4か月後は38.89±6.65であった。 2.硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した女性の育児に関する調査 出産方法にはかかわらず日々目の前の子どもの育児に順応し、子どもの母親としての役割を果たしていた。EPDSは、EPDS出産直後は、平均4.05±3.71点であり、1ヵ月後は平均3.53±3.78点であり、3-4か月後は平均2.46±2.60点であった。産後うつ病のスクリーニングで高値とされる9点以上は、出産直後は11名(13.9%)、1ヵ月後は4名(5.1%)、3-4ヵ月後は4名(5.1%)であった。赤ちゃんへの気持ち質問票では、出産直後は1.91±2.24点、1ヵ月後は1.48±1.82点であり、3-4か月後は1.04±1.65点であった。 3.硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した女性に対する心理的ケアモデルの開発と試作を行った。今後はこれらの結果を踏まえ、ケアプログラムの実施、評価を行う予定である。
|