近年、胎脂の役割が見直され、ドライテクニックの導入も進みつつあるが、温存した胎脂が新生児の皮膚にどのような影響を与えるのかについては解明されていない。そこで本研究は、正常新生児を対象とし、胎脂の過酸化脂質の増加が早期新生児期の皮膚バリア機能に与える影響について明らかにすることを目的とした。早期新生児期の皮膚保清ケアが異なる3つの施設で、合計124名の新生児を対象に、胎脂の過酸化脂質の経時的変化の測定と出生直後から退院まで(日齢4~5)の新生児の皮膚バリア機能の評価、非侵襲的評価法として開発されたスキンブロッティング法を用いて、表面化していない皮膚組織の炎症反応(IL-1α、IL-8)についても科学的に評価を行った。 その結果、胎脂中の初期過酸化脂質であるヘキサノイルリジンが、出生直後から高値を示しその後変動を繰り返す(連鎖的過酸化反応)群と出生直後から低値でその後も変動がみられない(不酸化)群があること、その他に個体レベルで炎症性サイトカイン(IL-1α)が高値を示すことを明らかにした。また、行われている保清ケアが新生児の皮膚バリア機能に影響を与えていることが示唆された。
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