研究課題/領域番号 |
26861944
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
西垣 佳織 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (90637852)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小児看護 / 家族看護 |
研究実績の概要 |
申請した研究計画に基づき、文献検討を再度実施し、最新の知見を取り入れた内容に精錬した。また文献検討による最新の知見にもとづいて、インタビューガイドを作成した。インタビューガイドでは、在宅療養の初期、現在、高等学校卒業後の将来における重症心身障がい児へのレスパイトケア効果に焦点を当てた。また、レスパイトケア効果を検討するために必要である人口統計学的情報および、重症心身障がい児の情報(年齢、教育機関、診断名、医療的ケアの状況、重症児スコア)、レスパイトケア利用の概要についても、現在の我が国の医療・社会制度に沿った情報収集ができるような形式で、インタビューガイドに含めた。その後、対象者紹介機関との交渉を実施した後に、研究者所属施設の研究倫理委員会に研究計画を申請し、2度の修正審査を経た後に、研究実施の承認を取得した。 承認取得後に重症心身障がい児の主介護者である対象者とインタビュー日時の調整を実施した。その結果、これまでに重症心身障がい児の主介護者である母親11名にインタビューを実施した。その他、日程調整中の対象者が30名存在する。これまでに実施したインタビュー結果については、録音データを逐語録に起こした。さらに質的研究である修正版グラウンデッド・セオリーを用いて、初期の分析を実施した。これまでの分析では、重症心身障がい児の年齢、重症度、家族の状況によって、主介護者が認識するレスパイトケアの効果が異なることが明らかになった。この初期分析の結果については、学会発表に抄録を登録している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レスパイトケア利用による重症心身障がい児への効果について、家族である主介護者の視点から明らかにしている過程にある。現時点までの初期分析によって、先行研究での知見に加えた新たな視点が明らかになりつつある。新たな対象者とのインタビューを日程調整も実施している。上記より、年齢、重症度、家族の状況について様々なバリエーションを有する重症心身障がい児の主介護者と対象にインタビューを実施することが可能な状況が整備されている。 また今後実施予定である専門職者を対象とした調査についても、対象者紹介機関との調整を開始しており、一部の機関からは内諾を取得している。 以上より、研究計画はおおむね予定通りに遂行されていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
重症心身障がい児の主介護者に対するインタビューを継続し、年齢、重症度、家族の状況について様々なバリエーションを有する対象者からのデータを取得する。その後、修正版グラウンデッド・セオリーを用いた分析を新たなデータが出現しなくなる状態に到達するまで継続する。その結果について取りまとめ、学術集会での発表を実施する。 また専門職者を対象に、重症心身障がい児の主介護者に実施したインタビューから得られた知見に基づいた調査を実施する。その結果、専門職者が認識する重症心身障がい児へのレスパイトケア利用の効果を明らかにする。 最後に、主介護者と専門職者の調査結果を統合し、重症心身障がい児へのレスパイトケア利用の効果を包括的に記述する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査計画に最新の知見を広く含めるためにキーワードおよび検索年数を広げた文献検討を実施したこと、調査者所属施設における研究倫理委員会の承認までに時間を要したことにより、調査開始までに時間を要した。そのため、当該年度に実施予定であった調査の一部について、次年度以降に実施することとなった。 上述の事態の結果として、調査実施に関する費用および成果発表に関する費用について、次年度に繰り越して使用する状況が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降に実施する調査実施に関する費用および、主介護者へのインタビュー調査についての学術集会での成果発表のために用いる。
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