重症心身障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律や、診療報酬の変化によって、在宅療養をする重症心身障害児を取り巻く医療・教育・社会福祉制度が大きく変化した。これらの社会的情勢の変化について、関連する学術集会への参加を通して情報を収集した。重症心身障害児を体調としたレスパイトケアに関わる専門職者がどのようにこの変化を認識・対応しているか、制度の変更によるレスパイトケアの変化が、重症児にどのような影響を与えるかとうことが議論されていた。特に重症心身障害児の中でも、医療的ケアが必要な子どもについては、社会参加としてのレスパイトケアの意義を論じる成果が多く存在した。また高等学校卒業後の進路について、どのように家族と医療専門職者が協働して意思決定をするか、継続して支援をしていくかが課題となっていた。 これらの学会参加等による、社会的情勢の変化による重症心身障害児のレスパイトケアを取り巻く環境の変化について、平成29年度までに収集した母親に対するインタビューデータに対する質的分析をさらに深め、本研究の目的である重症心身障害児のレスパイトケアの効果について深く検証した。その結果を踏まえ、最新の知見を含む先行研究を対象に概念分析を行った。その結果、重症心身障害児の母親は、レスパイトケアの効果を、重症心身障害児と家族の現在の状況のみではなく、過去の状況の振り返りおよび将来の状況の予測に基づいて認識していることが明らかになった。 よって、今後は、レスパイトケアの効果的な利用を促進するためには、重症心身障害児とその家族への効果について、主介護者である母親と家族が認識できるようなツールが有効と考えられる。
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