慢性疾患を持つ患児の多くが薬物療法により病勢をコントロールしているが、良好な服薬行動を継続することは成人期にある患者と同様に困難さを伴うものである。小児期においては、各発達段階ごとに成長発達の特徴があり、服薬を困難にする要因はそれぞれことなることが考えられるがそれを明らかにした先行研究はない。小児期における服薬行動について、各発達段階ごとの影響因子を明らかにし、良好な服薬行動を支えるための支援の確立は喫緊の課題である。本研究では、慢性疾患患児の服薬行動に関する発達段階別アセスメントシートの開発を研究の目的とし、乳児期、幼児期、学童期、思春期の服薬をする患児を対象に、その服薬行動への影響因子を分析した。 対象は、乳児期が2名8場面、幼児期が4名26場面、学童期が5名36場面、思春期が3名23場面であった。方法は、ビデオ撮影による非参加観察法で、服薬行動の準備から服薬終了までを記録し、コード化した観察項目と内服時間の関連を分析した。 観察された結果からは、乳児期については、「嚥下スキルの獲得過程」が、幼児期・学童期「遊びから服薬行動への活動移行」が、思春期については「副作用の影響」、「治療行動に対する孤独感」がそれぞれ影響因子として示唆された。今後はこれらを検証し、成果発表を行っていく。
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