これまでに助産師,歯科医師,産科医師と連携して,妊婦健康診査目的で来院している妊婦174 名を対象に,前向きに調査を実施した。つわり症状,口腔内症状,口腔ケア実施状況等を記録するOral Diary を独自に作成し,妊娠確定後から妊娠20週目頃まで継続して記録してもらった。さらに妊娠初期(平均妊娠10週目)と妊娠中期(平均妊娠20 週目)にアンケート調査を実施した。その結果,つわりの重症度を判断する上で最も重要な症状として「嘔吐」があるが,妊娠初期に「嘔吐有」だった者は97 名,「嘔吐無」だった者は77 名であった。よってつわりの重症度に差を認めたが,つわりの重症度に関わらず妊娠初期の妊婦は00%歯肉炎に罹患していることが明らかとなった。また,妊娠初期に「嘔吐有」の妊婦の方が,「嘔吐無」の妊婦より有意に口臭を気にしており,含嗽回数も多く実施していた。しかしつわりの重症度に関わらず1 日2 回のブラッシングを行っていたが,歯肉炎の予防にはなっていないことが考えられた。 以上の結果から,妊婦の口腔ケア管理としてのプロトコルを検討した。まず,妊娠確定後つわり症状が消失し,安定期に入る妊娠16週頃までは産科スタッフが妊婦の口腔状況を把握し,歯肉炎症状の出現の有無及び程度を妊婦が自覚するように関わること。同時に,つわり症状に合わせた効果的ばブラッシング方法の指導を実施する。その後,安定期に入った時点で歯科受診行動にむけての指導を実施することが重要である。
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