研究課題/領域番号 |
26861954
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
藤本 裕二 佐賀大学, 医学部, 助教 (30535753)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 精神障害者 / リカバリー / 地域生活 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地域で暮らす精神障害者のリカバリーと主観的特性との関連やその特徴を明らかにすることである。 本年度は,まず国内外の文献検討を行い,リカバリーに関連する主観的特性の調査項目について検討した。次に,地域で暮らす精神障害者107名を対象に自記式アンケート調査を実施し,地域で暮らす精神障害者の自己効力感の特徴とリカバリーとの関連について検討した。自己効力感は,地域生活に対する自己効力感尺度(Self-Efficacy for Community Life:SECL)で評価し,リカバリーは,日本語版 Recovery Assessment Scale(RAS)を用いてリカバリーレベルを測定した。その結果,SECLの下位項目平均得点は「治療に関する行動」,「社会生活」の順に高く,定期的な通院や適切な内服管理をしながら社会生活を営むことが自信の高さに繋がっていることが推察された。また,RASとSECL間には正の相関がみられ,精神障害者のリカバリーにおいて自己効力感が重要な要素であることが示唆された。今後は,リカバリーと自己効力感の因果関係についても検討討したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は調査項目の妥当性を検討し,地域で暮らす精神障害者の自己効力感の特徴とリカバリーとの関連について明らかにした。地域で暮らす精神障害者のリカバリー支援に関する調査を継続的に実施していることで医療機関や各施設の協力が得やすく,107名に自記式アンケート調査を実施することができた。交付申請書に記載した研究計画・実施スケジュール通りに研究を遂行できているため,現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,地域で暮らす精神障害者のリカバリーと主観的特性との関連を多角的に捉えるために,病院を含む精神科関連施設(デイケア,訪問看護,地域活動支援センター,グループホーム等)を機縁法で選択しながら参加者を増やし,分析を進めていく予定である。また,地域で暮らす精神障害者の主観的特性(自己効力感,楽観主義,健康意識等)の特徴を明らかにした上で,リカバリーと主観的特性との関連や因果関係について分析を進めていく予定である。多くの精神障害者の表現力が不十分であること,個性的・独自的な生活をしていることが予測されるため,調査場所へ出向いて対面による丁寧な聞き取り調査の方法を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は,離島地域を含めた調査を実施する予定であるが,本年度は離島での調査対象施設が少なかった。そのため,本研究を遂行する上での研究打ち合わせと調査の旅費及び,調査に必要な物品購入が減ったことにより,研究計画書で計上した予定額と実支出額に誤差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,研究計画書で予定している離島地域(長﨑県)での調査を実施する。また,本研究の対象者数は200~300名を予定しており,デイケアや訪問看護,地域生活支援センター等の複数の施設から聞き取りによるアンケート調査を実施する。そのため,調査の打ち合わせ及び調査旅費に加え,調査に必要なPPC用紙,文具等の消耗品等の補充を行う。さらに,アンケート結果を分析し,学会で発表を考えており,学会参加費等も必要となる。
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