研究課題/領域番号 |
26861956
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
小松 容子 宮城大学, 看護学群, 講師 (80568048)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 精神看護学 / セルフスティグマ / 偏見 / 差別 / 克服 / 理解 / 支援 / 看護師育成 |
研究実績の概要 |
平成28年度は(A)精神障害者が抱えるセルフスティグマへの援助が出来る看護師の育成についての検討と(B)地域で生活している精神障害者のためのセルフスティグマ克服のための支援についての検討を行った. (A)精神障害者が抱えるセルフスティグマへの援助が出来る看護師の育成についての検討:次の4つのことを行った.①精神看護学の臨床実習において、精神疾患を持つ患者が抱えるセルフスティグマに関連する事柄に、看護学生が遭遇する機会ならびに遭遇内容を明らかにし、セルフスティグマに関する学びの可能性についての検討,②精神看護学の臨地実習において、セルフスティグマを抱える患者が呈する言動に対して、看護学生はどのように反応しているのかを明らかにし,セルフスティグマを抱えた患者への支援に関する看護教育の在り方に関する検討,③精神障害者が抱えるスティグマについて,看護学生が関心を寄せ,ケアについて学び,セルフスティグマの軽減に向けたケアを考えるためのアクションリサーチ,④スティグマを抱える精神障害者の理解とケアについての学びを深めた看護学生へのインタビュー. 上記①~④の成果として,臨床・実習の場面では,当事者が内的なセルフスティグマを表現する機会が比較的多くあり,これらの場面をインストラクターや教員が適切に学習者に提示して,学びの機会とすることが必要であることが示された. (B)地域で生活している精神障害者のためのセルフスティグマ克服のための支援についての検討:精神疾患を抱える当事者を対象にインタビューを行い,偏見や差別を克服する体験とその体験につながる支援についての分析に着手した. 上記の(A)学生の視点と(B)当事者の視点を統合することで,セルフスティグマを抱えた精神障害者への適切なケアが提供できる看護師育成プログラムの基盤構築の一助になると考えられ,それを目指した研究活動を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
倫理的な不備のために平成27年度に実施できなかった当事者へのインタビューを,平成28年度には実施できた. また,上記に加えて,「精神障害者のセルフスティグマ」について,基礎看護教育の中で学べる仕組み作りのためのフィールドワークの分析もほぼ完了した.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,精神障害者が抱えるセルフスティグマへの援助のために,精神障害者の抱えるセルフスティグマの理解とアセスメントのためのまとめを行い,パンフレットの作成を目指す予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においては,専門書の購入について,新書ではなく,低額の古書の購入を行ったために,研究費として約6千円の次年度への繰越金が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,研究の最終年度であるために,研究の成果の公表を踏まえたイベントの開催を計画し,そのイベント企画の開催のための費用として使用していく予定である.
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