本研究は、精神看護専門看護師による看護師のメンタルヘルス不調者の支援に関するニーズおよび過程と方法、職場との連携の方法をもとに、より良いメンタルヘルス支援体制の在り方を明らかにするアクションリサーチである。 本年度の計画は、1.看護師のメンタルヘルス相談に関するデータ集計、2.メンタルヘルス相談を受けた看護師の内的キャリアの変化に関するインタビューの実施とデータ整理であった。 1.については、昨年同様にメンタルヘルス支援を実施し、相談者(14名)と管理者等のサポート者(7名)に関して情報収集と集計を行った。その結果、相談者にはストレス反応として、抑うつ、不安、睡眠パターン・食事パターンの変調が多くみられた。ストレス因子としては、対人関係の未熟さ、職場環境、人間関係、仕事の量的負荷が多かった。精神看護専門看護師は、これらの相談者に対して、支持的面接や心理教育を用いて支援をしていた。さらに、管理者との連携も並行して行っていた。また、昨年よりも部署管理者、看護部からの依頼が増加しており、精神看護専門看護師によるメンタルヘルス支援が組織に活用されていることが示唆された。 2.については、精神看護専門看護師によるメンタルヘルス支援の効果を明らかにすることを目的に、「精神看護専門看護師によるメンタルヘルス相談をうけた看護師の内的キャリアの変化」に関するインタビュー調査を行った。対象者は、精神看護専門看護師によるメンタルヘルス相談を受け、現在勤務を継続している看護師6名であった。インタビューの結果、対象者は、精神看護専門看護師と面接することで、自分の素直な気持ちを見つめなおし、心身の状態に合わせた体調管理や周囲とのコミュニケーションの方法を取得していた。その過程で、自分にとってより良い働き方や看護観を確かなものにし、自己肯定感を高めていたことが明らかになった。
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