研究課題/領域番号 |
26861974
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
丸尾 智実 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (70438240)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 家族介護者 / 認知症 / 自己効力感 / 抑うつ / 介入研究 / 参加型教育プログラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症介護自己効力感向上プログラム(SE向上PGM)の家族介護者の自己効力感と抑うつへの効果と要介護者への波及効果を検証することである。計画している具体的な研究項目は、認知症高齢者の家族介護者にSE向上PGMを実施して、①PGM実施前後および実施半年後の家族介護者の抑うつ(CES-D)20項目、介護SE(J-RSCSE)15項目、要介護者のBPSDの程度とそれに対する介護者の負担感(NPI-Q)の日本語版12項目、介護負担感(J-ZBI-8Y)の変化を検証すること、②要介護者のBPSDの程度(NPI)、精神・行動面(高齢者用多元観察尺度,MOSES)の変化について、第三者(臨床心理士等専門職)によって評価することである。 研究計画では、平成26年度中に1期、2期と開催時期をずらしてSE向上PGMを実施する予定であったが、現時点では1期1施設の10組を対象に実施した。10組の対象者においては、PGM前に比べてPGM後で家族介護者の抑うつおよび介護自己効力感の改善が認められたが、統計的には有意な差ではなかった。また、要介護者のBPSDの程度および精神・行動面においても大きな変化は認められなかった。 現時点では、対象者数が目標数より下回っており、詳細な分析および実施半年後の結果分析が十分に行えていないことから、対象者数を拡大して介入および分析を継続する必要がある。 本研究結果は、認知症高齢者を介護する家族への効果的な介入方法と内容の確立、また、本PGMの効果が認められれば家族介護者はPGMへの参加によって病状の進行に伴って変化する認知症高齢者の状況に対応できるという高い自己効力感を持って介護を行い、結果として認知症高齢者のBPSDの出現が抑えられて、より可能な限り在宅生活を継続することにつながる可能性がある。引き続き、研究に取り組む所存である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在の達成度の理由として、研究施設の拡大および調整が難航したため当初の計画よりスケジュールが遅れていること、また目標対象者数を下回っていることがあげられる。新規研究施設とは最終調整段階であるため、今年度中にすべての計画が進むように継続して努力する。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の時点では、対象者は介護保険施設のデイサービスを利用している認知症高齢者の家族としていたが、新規施設との調整が難航したことから、認知症外来を有する病院に通院する認知症高齢者の家族に広げることに計画を変更した。 新規施設との調整が難航した理由としては、介護報酬の引き下げ等の背景から施設側の研究協力体制が整わず研究の必要性は感じていても実際に協力をすることができないと複数の施設から回答を得た。また、厚生労働省の施策として地域在住認知症高齢者とその家族への早期介入が打ち出されていることを踏まえ、対象施設を介護保健施設に絞らないこととした。 現在、新規施設である病院とは部門間の調整に時間を要している状況ではあるが、研究の実施に大変意欲的である。引き続き新規施設でのプログラム実施に向けて調整を行い、早期にプログラムおよび研究計画が実施できるようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は介入研究を実施するための物品をそろえることを先決し、施設との打ち合わせや介入研究に際する交通費の請求を行っていなかったこと、また研究費を過剰に請求していると誤った自覚があったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
本来研究計画時に計上している介入研究を実施するための施設への交通費等に適切に使用したい。
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