本研究の目的は、看護師の離職率を低減すべく、バーンアウトに焦点を当て、認知行動療法に基づくスタッフトレーニングプログラムを開発しその有効性を確認することである。まず、<研究1>認知行動療法に関する知識習熟度レベルを測定するチェックリストを作成し、臨床経験10年以上の看護師を対象にスタッフトレーニングを実施し、コミュニケーションスキル尺度等に基づく評価を行い、そのトレーニングプログラムの有効性を検証する。次に、<研究2>として、トレーニングを受けた臨床経験10年以上の看護師により、集団認知行動療法を臨床経験3年目の看護師に対し実施し、バーンアウトや離職の意思が低下するか否かを検証することである。まず、看護師の認知行動療法に関する知識獲得の程度を測定するためのチェックリストを作成する。このチェックリストは、教師用応用行動分析チェックリストを参考にし、看護師用の認知行動療法に関する知識面を測定するチェックリストを作成した。また、認知行動療法をもとにスタッフトレーニングプログラムを作成し、3回のプログラムを実施した。その際、作成した認知行動療法チェックリストや、ALAS 質問紙調査票20 項目短縮版コミュニケーション・スキル尺度(「自己統制」「解読力」「他者受容」「関係調整」)多次元共感性尺度(「被影響性」「視点取得」「自己指向的反応」「他者指向的反応」)Maslach Burnout Inventory (MBI)で効果を測定し、スタッフトレーニングの有効性が確認された。<研究3>として、スタッフトレーニングを受けた看護師が認知行動療法を1から3年目の看護師に実施した。実施者自身の満足度が高く、うまくファシリテートができたという結果を得た。その認知行動療法を受けた1から3年目の看護師においても、認知行動療法を、先輩看護師から受けることができたことによる効果があったと考えられる。
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