研究課題/領域番号 |
26861995
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
森屋 宏美 東海大学, 健康科学部, 講師 (80631845)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遺伝教育 / ヒト遺伝学 / 遺伝継承 / 人の多様性 / 幼稚園 / 親 / 教育媒体 / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
遺伝子/ゲノム解析技術の進歩に伴い、遺伝子を通して人を捉えるよう社会が変化している。このため、世界保健機関は、すべての人に対し、ヒトの遺伝学の基本を教育する必要性を唱えている。近い将来、遺伝学的検査を活用するであろう成人期の市民や、将来を担う子どもに対しては、殊更ヒトの遺伝学を学習する環境が必要である。 本研究は、市民を対象とした遺伝学教育環境の構築を目指し、幼稚園をフィールドに遺伝教育を展開しながら、よりよい教育方策について考察することを目的としている。これは、遺伝子研究の成果を活用する社会の遺伝リテラシーを高める上で意義がある。 現在の遺伝学教育環境の構築に関する課題は、生涯にわたる継続学習がなされていないこと、遺伝学に関心のない人に対する教育導入の機会がないことである。本研究では、これらの課題解決のため、「親から子に伝える遺伝学」をテーマとした教育媒体を開発し、幼稚園に在籍する子どもと親への適用を通して、効果を検証する。 研究2年目にあたる本年度は、研究計画について所属施設の研究倫理審査委員会による承認を得た。また、幼稚園3施設の協力を得て、遺伝教育を実施した。対象者は、研究参加に同意した幼稚園の保護者とした。遺伝教育の方法は、遺伝教育媒体(初年度に作成)を用いて行い、遺伝教室のテーマは、「みんなちがってみんないい」とした。はじめに、幼稚園児とその親に対し45分間の親子プログラムを実施し、その後、親に対しプログラムの解説と遺伝子/ゲノム研究の社会還元について説明をした。遺伝教室前後に、親のPMS (Positive Mood Scale) による肯定的気分および、PATS (Positive Automatic Thought Scale) による肯定的自動思考を測定した。 今後は、引き続き異なる対象者に対し遺伝教室を行うと共に、遺伝教室の評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、①「親から子へ伝える遺伝学」をテーマとした教育媒体を作成し、②幼稚園に在籍する子どもと親への適用を通して、③評価をすることを目的としている。 研究2年目にあたる本年度は、幼稚園に在籍する子どもと親への適用(②)を実施し、評価に用いる情報として、遺伝教室前後に、親のPMS (Positive Mood Scale) による肯定的気分および、PATS (Positive Automatic Thought Scale) による肯定的自動思考の測定結果を得た。 今後は、引き続き新たな対象者に対し遺伝教室を行うと共に、遺伝教室を評価する予定であり、次年度に研究課題の達成が見込まれる。このため、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の推進方策について、研究参加者が目標数に至っていないことが課題である。この理由として、研究参加希望者が当初予想していたよりも少なく、リクルート者数の10%に満たないことが挙げられる。次年度は、引き続き新たな施設に研究協力を依頼し、新たな対象者に対しリクルートを行うことで、目標数達成を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は2つある。 一つ目は、研究事務の募集から内定までの期間が、当初計画より遅延したためである。 二つ目は、当初計画より、研究参加者数が少ないため、遺伝教室運営に係る費用が抑えられているためである。
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次年度使用額の使用計画 |
研究参加者の目標数確保のため、引き続き遺伝教室を運営するための資金が必要である。また、一定の研究成果が見込まれるため、外部への研究成果発表に係る資金が必要である。従って、繰越金は、人件費・謝金および旅費に充当する予定である。
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