研究実績の概要 |
平成27年度は、基礎調査で実施した中高年女性の尿失禁と生活習慣との関連について、日本ウエルネス学会の学会誌に論文を投稿した。その後、本調査の倫理審査書類を作成し、研究者の所属する大学の倫理委員会に書類を提出した。 基礎調査は全国の40~74歳の中高年女性1000名を対象とし、自記式質問紙調査を用いて横断調査を実施した。結果は825名より回答があり、このうち775名を有効回答とした。調査結果より、地域在住の40~74歳の女性の41.3%が尿失禁症状を有すること、尿失禁症状を有する者は主観的健康感が低いことが明らかになった。尿失禁症状の有無と生活習慣との関連を分析した結果、症状有群において、生活リズム不規則、食事時間が不規則、就寝前の食事摂取、塩分摂取は濃い味、間食、20歳の時より10㎏以上体重増加の割合が高く、有意差がみられた。また、尿失禁症状の有無を従属変数として、多重ロジスティック回帰分析を行った結果、最終モデルに残った変数は7変数で塩分摂取:濃い味(OR=1.631,p=0.006)、睡眠時間:6時間未満・8時間以上(OR=1.154,p=0.025)、睡眠時間:6時間未満・6時間以上8時間未満(OR=0.194、p=0.158)、婦人科疾患(OR=1.773,p=0.006)、糖尿病の既往(OR=3.560,p=0.001)、頻尿(OR=1.904,p=0.001)、肥満(OR=2.261,p<0.001)であった。 上記の調査結果より、尿失禁と関連がある生活習慣は「食生活習慣」と「睡眠習慣」であることが示唆された。そこで、平成28年度は「食生活習慣」と「睡眠習慣」、内臓脂肪型肥満との関連を明らかにするために体脂肪率、内臓脂肪面積の測定と生活習慣尺度を用いた横断調査を実施し、尿失禁予防のための内臓脂肪型改善プログラムの開発を行う予定である。
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