本研究は障害の問題および高齢化の問題などを視野に入れながら、身体と環境の間の機能的関係を空間の社会的構成という観点から研究するものである。この趣旨に則り研究期間内には、一つには障害の問題をテーマとして、身体と社会的物理空間の間の機能化と非機能化の問題を検討し、「身体制度」という新しい分析の視点を提起した。また同様の問題を規範的観点からも考察し、アマルティア・センのケイパビリティアプローチなどを参考としつつ、カント以降の自由思想の身体論的展開の可能性を明らかにした。両研究はともに論文として出版されている。またさらなる研究の展開に向けて、モダニズム建築と社会的空間構築の分析に向けた研究も行った。
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