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2014 年度 実施状況報告書

Filaminを介した正常上皮細胞の抗腫瘍作用機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26870004
研究機関北海道大学

研究代表者

梶田 美穂子  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00607442)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードfilamin / EDAC / SILAC / apical extrusion
研究実績の概要

申請者は、変異細胞に隣接する正常上皮細胞が変異細胞の存在を認識し、filamin やvimentinを介して変異細胞を積極的に排除する(apical extrusion)ことを発見し、その成果を国際雑誌に報告した(Kajita et al., 2014 Nat. Commun.)。この結果は、がん発生の超初期段階には「正常上皮細胞による抗腫瘍作用(EDAC: Epithelial Defense Against Cancer)」という新しいタイプの生体防御機構が働いていることを示唆するものである。本申請ではEDAC に中心的な役割を果たすfilaminを制御する分子の探索により、EDAC現象を分子レベルで解明することを目的としている。実際の分子の探索はSILAC (Stable Isotope Labeling by Amino acids in Cell culture) 法を用いた網羅的かつ定量的な解析法を用いた。その結果、混合培養時にfilaminとの結合量が2倍以上に増加する分子を複数同定することに成功した。その中でも、細胞極性因子のDLG やGPIアンカー型のSemaphorin 7Aはそれぞれ単培養時と比べて、混合培養時に5.11倍もしくは2.99倍と大幅なfilaminとの結合性の増強が見られた。これらの分子については、現在細胞免疫染色によって、正常上皮細胞と変異細胞の境界における局在を観察しているところである。同時に、DLGと協調的に作用して細胞極性に関わるscribbleについても解析を進めており、変異細胞がscribbleノックダウン細胞に囲まれると変異細胞のapical extrusionが有意に抑制されることを見出している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では当初の目的通り、SILAC法を用いたfilamin 結合分子の探索を行い、正常上皮細胞と変異細胞の境界で特異的にfilaminと結合する分子を複数同定することに成功している。また、スクリーニングで見つかった分子についての解析も進んでおり、ほぼ計画通りに研究が進んでいると判断している。

今後の研究の推進方策

これまでにSILAC法を用いたスクリーニングにより同定された「正常上皮細胞と変異細胞の境界で特異的にfilaminと結合する分子」についての解析を進める。具体的には変異細胞に隣接する正常上皮細胞内においてfilaminと共局在するのかを確認し、新たに同定された因子のノックダウン細胞を樹立してfilamin の集積への影響や変異細胞のapical extrusionへの影響を確認していく。同時に新たに同定された因子について、細胞競合モデルマウスを用いたin vivo や腸上皮の組織培養を用いたex vivoにおいて、filamin の集積への影響や変異細胞のapical extrusionへの影響を解析していく。

次年度使用額が生じた理由

SILAC法によるスクリーニングに必要な機器が故障して解析が遅れ、解析目的となる候補因子の同定が遅れたため、解析に必要な抗体や、細胞株の樹立のための培地、血清、抗生物質等の購入費用の一部が次年度に繰り越された。

次年度使用額の使用計画

新たに同定された候補分子の解析のための抗体購入や、細胞株樹立のための培地、血清、抗生物質等の購入費用に当てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] EPLIN is a crucial regulator for extrusion of RasV12-transformed cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Ohoka, A., Kajita, M., Ikenouchi, J., Yako, Y., Kitamoto, S., Kon, S., Ikegawa, M., Shimada, T., Ishikawa, S. and Fujita, Y.
    • 雑誌名

      Journal of cell science

      巻: 128 ページ: 781-789

    • DOI

      10.1242/jcs.163113.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Filamin acts as a key regulator in epithelial defence against transformed cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Kajita, M., Sugimura, K., Ohoka, A., Burden, J., Suganuma, H., Ikegawa, M., Shimada, T., Kitamura, T., Shindoh, M., Ishikawa, S., Yamamoto, S., Saitoh, S., Yako, Y., Takahashi, R., Okajima, T., Kikuta, J., Maijima, Y., Ishii, M., Tada, M. and Fujita, Y.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 5 ページ: 4428

    • DOI

      10.1038/ncomms5428

    • 査読あり
  • [学会発表] Filamin acts as a key regulator in epithelial defense against transformed cells2014

    • 著者名/発表者名
      Mihoko Kajita
    • 学会等名
      第37回分子生物学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 (神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25

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公開日: 2016-06-01  

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