ウランバートル市北部のゲル地区において、2017年 8月10日から9月10日の調査期間で計100名の住民から街路関係と近隣関係に関するアンケート調査を実施し、アンケート結果の取りまとめ、地図上へのプロット作業を実施した。過去年度の調査と合わせ計730戸のアンケート調査結果をつきあわせ、街路に対する認識ならびに街路における行動の比較分析を実施した。ここから、移住者の地区であり一般に隣人関係が弱くコミュニティの基盤が脆弱とされるゲル地区であるが、その隣人関係・街路への関心には地域ごとの多様性が示された。なお本調査の実施にあたっては、2017年度にアウトリーチ活動として参加したゲル地区に関する野外展覧会「Tale of Two Cities: Outdoor Exhibition in the Ger Area of Ulaanbaatar」で協力したゲル地区住民の協力が得られた。 本研究の成果の一部を1.(研究発表)研究会議「ウランバートル・ゲル地区における住まいの複層的調査を通じた都市環境問題解決方策の提言」(東北大学アジア研究センター)において「分断する都市: ゲル地区管理の歴史比較」として発表。2.昨年度印刷中となっていた(研究論文)滝口良、坂本剛、井潤裕「モンゴル・ウランバートルのゲル地区における住まいの変容と継承:都市定住に適応する遊牧の住文化に着目して」(『住総研研究論文集』43:173-184)が出版。 1.のシンポジウムの本研究を通じて、ゲル地区を研究する異なる分野の専門家からなる研究グループを組織している。同研究グループによるゲル地区の居住とコミュニティを主題とする共著本の2018年度中の出版を準備中。
|