研究課題
最終年度の研究成果-昨年度に引き続いて実験動物を組織標本化し,組織学的観察・計測,分析を行った.組織学的観察・計測:得られた切片に染色を行い,画像解析ソフトで生体適合性,新生骨形成に関する計測を行った.統計分析:平均値と標準偏差を算出後,統計処理分析を行い,生体適合性を検討した.期間全体の研究成果-目的:現在臨床応用されている骨ペーストは賦形性を有し欠損に容易に填入できるが,硬化体は緻密であるため細胞侵入性が低く,自己組織化が困難である.そこで硬化後に多孔質体を形成するα-リン酸三カルシウム(α-TCP)とポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)微粒子のエマルション骨ペーストを開発した.本研究ではα-TCP/PLGA微粒子エマルション骨ペーストの生体適合性を組織学的に評価した.方法:α-TCPとPLGAをヒマシ油と混和後に純水を添加,超音波を照射してエマルション骨ペーストを調整した.微粒子の混合比は,30wt%α-TCPのみ,それに10,20wt%PLGAを添加した3種類とし,ラット背部皮下にエマルション骨ペーストまたは生体外で硬化させたエマルション硬化体を埋入した.術後10日に生体親和性評価を行い,細胞侵入率とイングロースした細胞のDNA量を計測した.結果:エマルション骨ペーストでは細胞がイングロースしているのを認めたが,エマルション硬化体のイングロース量は僅かであった.エマルション骨ペーストの細胞侵入率は,α-TCPのみ,および10wt%PLGAで約50%,20wt%PLGAで80%前後であったが,エマルション硬化体では全て10%程度と少なかった.エマルション骨ペーストでのDNA量は,20wt%PLGAがα-TCPのみの約5.6倍であった.結論:エマルション骨ペーストは生体内での硬化で良好な生体適合性を示し,PLGA添加により細胞のイングロースが促進された.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
日本歯科保存学雑誌
巻: 59 ページ: 351-358
10.11471/shikahozon.59.351
https://www.den.hokudai.ac.jp/hozon2/biomate.html