機関投資家の株式保有比率とペイアウト政策の関係性について実証分析を行った。結果は2点にまとめられる。まず、機関投資家を国内系、海外系に分けると、海外機関投資家の持分割合が高い企業では配当に積極的であり、国内機関投資家の持分割合が高い企業では自社株買いに積極的である。2点目は、機関投資家の投資ホライズンが企業のペイアウト政策に影響を与えている可能性を見出したことである。具体的には投資ホライズンの長い(短い)機関投資家の保有割合が高い企業では配当(自社株買い)に積極的となる。これらは、自社株買いにおける逆選択問題と希薄化コストを敬遠する株主の意向を企業側が汲んだ顧客効果による結果だと示唆される。
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