今年度の目的は、米国で史料の写真をとり、その史料を整理し、その一部の成果を発表することであった。目的は部分的に達成できた。 まず史料の成果を筆者が所属する日本ラテンアメリカ学会の雑誌に提出する予定であったが、米国で新しい史料がみつかり、その内容を整理する必要があった。その影響で雑誌に論文を提出することができなかった。その成果を平成30年に筆者が所属する学会の雑誌に発表する予定である。 次に、筆者は2017年11月に、神奈川大学主催のシンポジウム「キューバの新時代」に討論者として参加した。ここでキューバの政府官僚や研究者と自分の研究について意見交換できた。一方、史料分析では、今年度はジョンソン大統領図書館に足を運び、新しい外交史料を見つけた。なかでも米国が日本に対してキューバ政策を転換するような要求が明確になり、当時、キューバ以外の砂糖市場がないことが明らかになった。これが対キューバ政策を大きく影響したと考えられる。これに加えて、テキサス州立大学(オースティン校)の図書館の雑誌やキューバの新聞を拝見することができた。 最後に、今年度は研究の最終年度である。史料分析から言えるのは、池田政権の対キューバ政策の背景には砂糖というファクターが大きな影響を与えたと言える。また池田政権の対キューバ政策は、岸信介内閣から始めた「砂糖外交」の延長であったと言える。これはキューバ革命の勝利後も変化はなかった。しかし、本研究では、1962年のキューバ危機前の史料分析をできたが、そのあとの分析は時間の問題ができなかった。この点が不足しているので、今後はキューバ危機以降の政策がどのように変化したのかを説明する必要がある。ただし、先行研究でも指摘されているように、キューバ危機以降も日本の政策は変化はなかった。これには砂糖が大きな影響を与えたと言える。
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