研究実績の概要 |
頭蓋内硬膜下電極から得られるECoG、特に高周波成分であるHGA(60-170Hz, 200-300Hz)に着目しててんかん焦点診断及び脳機能マッピングを行った。発作時のECoGデータを解析し、てんかん波のHGAが高い電極を赤く、低い電極を青く表示した。また、これらを3次元脳表上に経時的に表示することで、てんかん波の広がりを経時的に理解できるように視覚化した。結果として、60-170Hzの周波数帯域での解析では、てんかん焦点と焦点から周囲の脳皮質にてんかん波が広がっていく様子を捉えることができた。60-170Hzの周波数帯域は正常脳機能を反映するという背景から、てんかん波の広がりによる症状を捉えるのに有用だと考えられた。一方、200-300Hzの帯域での解析では、てんかん焦点に特異的に活動が認められており、周囲への広がりは認めなかった。てんかん焦点診断の精度については、古典的な脳波解読により焦点と判断した電極と、200-300Hzにおけるリアルタイムマッピングで反応を認めた電極を比較検討した。結果は、感度87.5%、特異度100%であり、てんかん焦点診断として十分な精度であった。 以上の結果より、60-170Hzのrippleと呼ばれる周波数帯域ではてんかん焦点からの広がり(発作時の症状)を捉えるのに有用であり、200-300Hzのfast rippleと呼ばれる周波数帯域ではてんかん焦点診断を行うのに有用だと考えられた。この結果については国内の学会および論文発表を行い、評価を得ることができた。
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