研究課題
研究者は高脂肪食負荷非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)モデルマウスに抗生剤を投与した腸内除菌モデルマウスにおいて、脂肪肝の改善、血液生化学所見の改善、脂質代謝遺伝子の発現異常が改善することを見出しており、脂肪肝と腸内細菌叢が密接にかかわっている事を報告している(Sawada K. Hepatol Res 2014)。この結果に基づいて、高脂肪食負荷NAFLDモデルマウスにおけるプロバイオティクス(Lactobacillus brevis SBC8803)による脂肪肝改善効果を検討した。高脂肪食単独群(HFD群)、高脂肪食+1%プロバイオティクス群(pro群)、高脂肪食単独8週投与後に1%プロバイオティクス投与群(pro8w群)の3群に分けて、各々を51週間投与してモデルマウスを作成した。投与開始38週の時点では、HFD群、pro8w群に比較し、pro群において体重増加の抑制が認められた。しかし、その後3群とも個体によるばらつきの出現と体重低下が認められ、投与開始51週では体重における有意差は消失した。血液生化学所見においても、3群間で有意差は見られなかった。組織学的な脂肪肝の程度も体重同様ばらつきを認めた。一方、肝組織における脂質代謝遺伝子のmRNA発現はChREBP、SREBf1の発現に変化は認めなかったがHFD群に比較し、pro8w群においてPPAR alphaの発現が亢進していた。以上から、高脂肪食の長期投与は体重の増減に個体差を大きく認めたが、プロバイオティクスLactobacillus brevis SBC8803はNAFLD脂肪肝においてPPARaの発現亢進を介したβ酸化亢進をもたらしている可能性が示唆された。今後は体重低下を来す前の段階で解析していく必要がある。
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