研究課題
我々は、概日リズムを制御する時計遺伝子の機能解析を行ってきた。一方、癌の増殖・進展には、癌細胞に加え、間質細胞や細胞外マトリックスなどを含めた微小環境が重要である。近年、時計遺伝子の発現異常が乳癌発症に関与していることが注目されており、本研究では、癌細胞増殖・癌細胞と間質の相互作用・腫瘍血管新生機序における時計遺伝子の役割を解析し、乳癌微小環境の病態解明と、増殖制御機構の構築を目的とする。ヒト乳癌細胞株(MCF-7, MDA-MB-231など複数の細胞株)を用いて、培養細胞レベルで、時計遺伝子発現リズムの意義を明らかにする。(1) 概日リズム下で、時計遺伝子DECおよび血管新生関連因子の発現変動を解析する。(2) 乳癌細胞で時計遺伝子と血管新生因子との関連を解明する。(3) 間葉系幹細胞との共培養における乳癌細胞増殖・浸潤・血管新生の解析。
2: おおむね順調に進展している
ヒト乳癌細胞MCF-7において、高濃度(50%)血清刺激により概日リズムの誘導をできたため、時計遺伝子DEC及び血管新生因子発現変動の解析をできた。時計遺伝子DECの発現制御により、血管新生関連因子の発現変動が認められ、細胞増殖能・浸潤能の変化も認められました。
癌細胞培養上清による血管内皮増殖活性への影響を検討していく。ヒト乳癌細胞が分泌するVEGFが、実際に血管内皮増殖活性を有するか否かを検討するために、ヒト臍帯静脈由来内皮細胞(HUVEC)を、コントロールRNA干渉またはRNA干渉でDECを発現抑制した癌細胞の培地上清で培養し、増殖能はMTS assay、浸潤能はMatrigel Invasion assayで比較する。これにより、DEC発現抑制における、癌細胞のVEGF産生・分泌と、血管内皮細胞の増殖活性への影響が示される。
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