本研究では(1)集合住宅における「問題構築と制度のプロセス研究」と(2)集合住宅の管理をめぐる「暗黙知の形式知化」の2つの課題に取り組んだ。 このうち(1)については、日本における集合住宅にかんする制度が本格的に整備された1980年代初頭から今日までの法制度の改定と現実の集合住宅管理の相互作用に焦点を当て、「大規模集合分譲住宅における「住む主体」の形成過程」(祐成保志と共著、住総研研究論文集41号、2015年3月)にまとめたほか、European Network of Housing Research Conference(2015年6月)にてその成果の一部を"Current Debates on the Comdominium Management System in Japan"と題して発表し、その内容は"Studies in Housing Law" vol.2に収載される予定である。 また(2)については、(1)の成果とともに2014年度関東都市学会春季大会シンポジウムを「分譲マンションにおけるコミュニティのゆくえ」をテーマとして組織し、集合住宅管理に取り組む管理会社と管理組合双方との信頼関係を構築し、さらに、(1)の一連の成果とシンポジウムの討議の記録を収録した冊子『集合住宅をめぐる問題の現在』を100部作成して、関係者に幅広く頒布した。そのうえで、主に管理会社の業界団体であるマンション管理業協会専門部会とともにワークショップ・ツール『マンション管理クロスロード』を制作するための討議を重ね、スライド上映形式とカードゲーム形式の双方の版を作成して、同協会の職員研修等で活用する道筋をつけた。
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