本研究は、現代日本の集合住宅管理に着眼して、まず(1)現在、問題の原因だと見なされている「二重の老い(建物の老朽化と所有者・居住者の高齢化)」以上に、所有者自身を管理の主体とする法制度そのものが問題を生起し複雑化させていることを確認した。そのうえで、だからと言って、法制度の変革だけが解決策ではなく、(2)集合住宅そのものが「療養病床」や「民泊」に分岐する可能性を踏まえた領域横断的な議論が必要であることを指摘した。さらに、(3)これまでの法制度の下で蓄積されてきた経験知を、本研究が開発したようなワークショップツールを通じて形式化し広汎に共有することによっても乗り越え可能であることを明らかにした。
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