研究課題
ヒト生殖補助医療(ART)の普及に伴い、これまで非常に稀であったゲノムインプリンティング異常症の発症頻度の増加が世界中で報告され注目されている。本研究では、ARTによるリスク要因を検索するため、インプリント異常症患児DNAを用い、インプリント領域のメチル化解析、メチル化関連遺伝子の構造・機能解析を行い、メチル化異常の発症メカニズムとARTの影響について比較検討する。本年度は、Silver-Russell症候群(SRS、ART群:5名、非ART群:10名)およびBeckwith-Wiedemann 症候群(BWS、ART群:2名、非ART群:7名)患児の末梢血ゲノムDNAを用いて、Agilent SureSelect V5+UTRsによりエクソーム解析を行った。DNAメチル化酵素DNMT1、DNMT3A、DNMT3B、DNMT3L、メチル化基質合成酵素遺伝子MAT2A、DNAメチル化関連因子CTCF、YY1、NLRP2、NLRP5、NLRP7、ZFP57、UHRF1、ARID4A、ARID4B、MBD3におけるホモ接合の非同義塩基置換は認められなかった。また、これらの遺伝子のヘテロ接合の非同義塩基置換について、SIFTおよびPolyPhen-2予測アルゴリズムで解析したが重大な影響を及ぼすような変異は認められなかった。さらに、これらの遺伝子のプロモーターおよびジーンボディについて、RRBS法によるDNAメチル化解析を行ったが、異常は認められなかった。以上の結果から、SRSおよびBWS患者におけるゲノムワイドなメチル化異常は、DNAメチル化関連遺伝子の変異ではなく、ART操作時の影響を受けたと推察された。
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Scientific Reports
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