研究実績の概要 |
MYC転座陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を対象に臨床病理学的解析を行い、MYC陽性19例のサブグループ解析にて高率(79%)にBACH2陽性を認められ、MYC陽性DLBCL群においてBACH2陰性群では陽性群に比して予後良好であることが明らかにした(Ichikawa et al. Cancer Science 2014)。この結果からBACH2発現がMYC転座陽性DLBCLの病態に関与していると考え、既知のB細胞リンパ腫進展に関与する各遺伝子のゲノム異常と蛋白発現について検討した。蛋白発現では、BACH2、BCL2、BCL6の相関は認められなかった。BACH2陽性群では、MYC陽性例にBCL2・BCL6遺伝子再構成は認められず、MYC陰性例ではBCL2(27%, 9/33例)・BCL6 (8%, 2/26例)遺伝子再構成を認められた。BACH2陰性群では、MYC陰性例においてBCL2遺伝子増幅が多く認められた(17% vs 6%)。さらに、MYC陽性DLBCLの一部は濾胞性リンパ腫からの形質転換例が含まれることから、濾胞性リンパ腫(n=70)におけるBACH2発現を検討したところ、BACH2発現と病理学的grade分類が相関し(grade1(47%), grade2(57%), grade3A(37%), grade3B(13%))、BCL2転座陰性例ではBACH2発現が高いことが明らかとなった(BCL2陽性群56% vs 陰性群28%)。以上より、MYC陽性DLBCLにおけるBACH2発現においてBCL2遺伝子との関連を更に検討していくこととした。
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