研究課題
MYC転座陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)では高率(79%)にBACH2陽性を認められ、MYC陽性DLBCL群においてBACH2陰性群では陽性群に比して予後良好であることが明らかにした。BACH2陽性群をさらにMYC転座の有無によりサブグループ解析すると、MYC陽性例ではBCL2・BCL6遺伝子再構成は認められず、MYC陰性例ではBCL2(27%, 9/33例)・BCL6 (8%, 2/26例)遺伝子再構成を認められた。BACH2陰性群でもMYC陰性例においてBCL2遺伝子増幅が多く認められ(17% vs 6%)、予後不良群であるMYC陽性DLBCL群においてBACH2発現は予後や病態の違いを示すマーカーとなり得ることが示唆された。濾胞性リンパ腫(FL)(n=70)におけるBACH2発現は病理学的grade分類と相関し(grade1(47%), grade2(57%), grade3A(37%), grade3B(13%))、BCL2転座陽性例ではBACH2発現が高いことが明らかとなった(BCL2陽性群56% vs 陰性群28%)。さらに濾胞性リンパ腫(979例)の2%にG分染法やFISH検査にてMYC遺伝子異常を認められ、そのうち50%はgrade1-2に留まっていることが明らかとなり、MYC異常は臨床的に形質転換が生じる前段階にて既に生じていることを示唆するものである。最も予後不良であるDouble hit lymphomaの一部は濾胞性リンパ腫からの進展(17-21%)が推察されており、MYC陽性FLの病態についてさらに解析を進める予定である。
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