研究課題
ヒトへの大腸伸展刺激時、ストレス関連ホルモン放出機構ならびにネットワーク関連解析について、対象について、健常者8名(女性8名)、IBS群8名(全員女性)を対象として新たに行った。男性のIBSと健常者比較において、脳画像、血中ホルモン値変化を認めたこと、更に当研究室、海外報告でIBSの性差による反応差異が示唆されたためである。ヒト内属刺激ストレスに対する、ストレス関連神経伝達物質の男女差:血漿ノルアドレナリンについて、男性では安静時にIBS群で有意高値であったが、女性では群間差を認めなかった。他に、ACTHやcortisolでは男性と類似した、刺激に応じて血中ホルモン値が上昇するという結果を得た。更に、刺激時に測定した心電図を用いた心拍変動解析において、心拍数と副交感神経活動性が、大腸伸展時にストレス関連神経伝達物質濃度を関連することを捉えた。脳画像について、安静時の脳画像の局所脳volume解析(VBM)について、健常女性群とIBS女性群では内臓知覚、情動に関する局所脳のvolume差を認めなかった。一方で心拍変動の値とノルアドレナリン系神経ネットワークに関連する局所脳に相関が見られ、脳機能が自律神経系反応に関連していることが示唆された。動物実験では、GFPマウスを用いた大腸刺激試験において、底外側扁桃体の神経棘突起構造変化を認めたため、刺激強度に応じた、構造変異に関連する物質について検討を行った。現在ストレス関連物質を脳室内に注入した際の大腸伸展刺激時、神経棘突起構造変化について、解析中である。
2: おおむね順調に進展している
申請者は平成27年度に出産、育児休暇を取得した。その為、延長申請を行ったが、休暇時期を加味して進捗を考えると順調と考える。
当初バソプレシン投与時の大腸伸展刺激時の血中ホルモン変化について調べる予定であったが、バソプレシンを健常人に投与することについて副作用などの点より懸念が出てきたため、バソプレシンが生成される視床下部で同部位に存在するCRHを投与して、健常女性CRH投与群(8名)とIBS女性CRH投与群(8名)について研究を行なう。動物実験において、現在Green fluorescent protein (GFP)マウスのストレス関連神経伝達物質と大腸伸展刺激時の強度との関連、行動に与える影響について実験解析を行なう。
申請者は平成27年度に出産。育児休暇取得のため、当初予定より後倒しとなった。
当初3年次計画を行なう予定である。進捗は概ね順調である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
PLoS One
巻: 11 ページ: e0157347
10.1371/journal.pone.0157347
巻: 11 ページ: e0149322
10.1371/journal.pone.0149322
巻: 11 ページ: e0147817
10.1371/journal.pone.0147817