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2014 年度 実施状況報告書

時空間変動高せん断流れ環境における血管内皮細胞のシグナル伝達機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26870041
研究機関東北大学

研究代表者

吉野 大輔  東北大学, 流体科学研究所, 助教 (80624816)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード血行力学 / 血管内皮細胞 / 流体せん断応力 / せん断応力勾配 / メカノバイオロジー / 動脈瘤 / 可視化計測 / 計測融合シミュレーション
研究実績の概要

血流に対する血管内皮細胞の応答は、動脈瘤などの血管病変の発症や進展に強い関連を持つことが指摘されているが、血流により生じる細胞周囲の力学環境と血管疾患を支配する細胞内シグナル伝達機構は未だ十分に理解されていない。本研究は、血管疾患好発部位の血流を模擬した流れ負荷培養系を用いて、これまで計測例のない内皮細胞近傍の流れ場の可視化計測を行い、計測融合シミュレーションにより細胞周囲の力学環境を明らかにする。さらに細胞内シグナル伝達機構を解明することで、血管疾患に対する流体力学的要因の正確な理解に基づく予防法や治療薬の開発に貢献することを目的とする。
平成26年度は、時空間変動を伴う高せん断応力環境を再現可能な流れ負荷培養系の構築を行い、血管内皮細胞近傍の流れ場と細胞変形状態の可視化計測を試みた。構築した流れ負荷培養系を用いて、血管内皮細胞の形態応答を評価した。空間的せん断応力勾配がある流れ環境では、細胞が流れ方向に配向・伸長しないことが予備実験により明らかになっているが、高せん断応力環境においては勾配の有無に関係なく、細胞が流れ方向に配向・伸長することが明らかになった。また勾配環境下の配向・伸長にはせん断応力の閾値が存在し、それが細胞内のひずみ分布に関与することが簡易計算モデルにより示唆された。しかし、「現在までの達成度」に後述のように、可視化計測に必須である光学系における課題により、可視化手法の変更を余儀なくされたため、血管内皮細胞近傍の流れ場と細胞変形状態の可視化計測は未達の状況にある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

レーザー光源、高速度カメラ、顕微鏡レンズを用いた光学系を構築し、内皮細胞近傍の流れ場の可視化計測を試みた。フローチャンバーにより形成された流路の高さが最小で0.1mmと非常に薄く、光源であるレーザーがチャンバー壁面と干渉する問題が発生したため計測困難となり、可視化手法の再検討および変更の必要性が生じた。レーザー光源、高速度カメラ、顕微鏡レンズを用いた光学系の使用を断念し、共焦点レーザー顕微鏡による細胞変形状態の3次元計測および流れ負荷によって焦点接着斑に発生する牽引力の直接計測に手法を変更するのに時間を要したため、可視化計測の計画を延長せざるを得ない結果となった。

今後の研究の推進方策

静置培養の状態で計測試行を行い、目的とする計測が可能であると確認された「現在までの達成度」に前述の手法を採用し、共焦点レーザー顕微鏡を用いた細胞の断面像撮影および変形状態の3次元計測、流れ負荷による細胞牽引力の計測を引き続き行う。得られた結果を用いた計測融合シミュレーションを行う事で、細胞近傍の流れ場を推定し、細胞内部の応力分布、ひずみ分布を解明する。並行して細胞内部の応力分布、ひずみ分布に対応したタンパク質局在および活性化を免疫蛍光染色法およびウェスタンブロット法を用いて確認することで、血管疾患発症および進展に関わる細胞内シグナル伝達機構の解明を試みる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Localization of Protein Tyrosine Phosphatase in Endothelial Cells under Shear Flow2014

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Yoshino, Naoya Sakamoto, Masaaki Sato
    • 学会等名
      Fourteenth International Symposium on Advanced Fluid Information
    • 発表場所
      Sendai, Japan, 仙台国際センター
    • 年月日
      2014-10-09

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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