研究課題
本研究は、新規素材であるアモルファス合金ナノワイヤーの高い耐久性と機械的強度を活用した3次元構造・無担持電極を開発するための知見を得ることを目的とする。本年度は、平成26年度に取り組んだアモルファス合金の中で、いち早くナノワイヤーの作製に成功したPd基アモルファス合金を優先させ、ワイヤー構造のより一層の長尺化、微細化、均一化を図るための研究を継続した。昨年度に取り組んだ温度依存性に加えて、ガスの種類や圧力をはじめとした曵糸速度に直結するアトマイズのパラメータを最適化する中で、生成されるワイヤーおよび粒子の直径分布が対数正規分布に従うことを再確認した。対数正規分布は微細化の過程を反映しており、これら生成物のサイズの評価基準とすることで、ガスアトマイズ法の生成条件を確立することができた。現在、こうして実現した量産可能なアモルファス合金ワイヤーの微細度・直径分布、ワイヤーと粒子の分級および各々のサイズによる分級、溶媒への分散安定化の改善を進めている。上記の手法により作製したアモルファス合金ワイヤーについて、当初予想していなかった再生医療の分野への研究展開があったので、波及効果として報告する。細胞培養の足場となる親水性ゲルシートに、サブミクロンのPd基アモルファス合金ワイヤーを組み合わせたところ、導電性や機械強度が増大することが観測された。この結果に関する論文は、学術誌の表紙にも採用されており、その重要性が評価されたと考える。今後、ナノスケールの分散性ワイヤーを活用できれば、アレイ化による配向制御が可能となって、導電性や強度がさらに高まり、再生医療の発展に資するハイブリッド材料の実現が期待される。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Sci. Rep.
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Biomater. Sci.
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http://www.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/jp/news/press/2015/20150602_000565.html
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2015/06/press20150528-02.html