研究課題/領域番号 |
26870060
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
齊藤 明 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90591751)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膝関節筋 / 変形性膝関節症 / 超音波 |
研究実績の概要 |
平成26年度は健常大学生50名(若年群)、健常高齢者50名(高齢群)、変形性膝関節症患者52名(膝OA群)を対象に膝関節屈曲30度位での膝関節伸展運動時の膝関節筋および膝蓋上包の変化を超音波診断装置を用いて計測した。 健常者のデータでは、膝関節伸展時に膝関節筋が膝蓋上包を中枢側へ引き上げる作用を有することが確認された。これまでは肉眼解剖に基づく起始や停止部からその機能が推察されていたが、本研究により膝関節筋の機能を客観的データとして示すことができたため、その意義は大きいと考える。 次に膝関節筋の機能を膝OA群と健常群とで比較した。膝OA群では他の2群に比べ有意に膝関節筋および膝蓋上包の変化が低値であり、また高齢群では若年群に比べ有意に低値であった。したがって膝OA群では加齢による同筋の筋萎縮や機能低下に加え、更なる筋萎縮や機能低下が関与することが明らかとなった。 また膝OA群において、膝関節筋の機能と膝関節可動域、疼痛、重症度との関係を検討したところ、いずれも有意な相関関係が得られ、膝関節筋の機能と膝OAの症状との関係が明らかとなった。 これらは膝関節筋の機能低下が膝OAの進行や症状に関わっていることを示し、これまで見落とされていた筋であるが、膝OAのリハビリテーションにおいては重要な治療対象の1つであることが示唆された。これらの成果は今後、膝OAの治療や予防などに応用される可能性があり、その重要性は高いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は健常高齢者の計測が平成26年度の計画であったが、これに加え健常大学生および膝OA患者のデータも測定、検討することができたため、計画以上の進展が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を論文として公表する。 また平成26年度では、膝関節筋の筋厚変化や動きなど量的変化を主に検討したが、今後は筋の硬さなどの質的変化が膝OAに及ぼす影響を検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費は当初予定していた東日本整形災害外科学会への参加ができず、また人件費については計画当初にデータ収集や解析時の補助の人材を見込んでいたが、適切な人材がおらず概ね1人で実施したため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は学会発表および論文発表を中心に行う予定である。したがって旅費や論文校正費、雑誌への投稿費用として使用する予定である。
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