本研究では、ヒト肝内自律神経線維と代謝との関係を解明することを目的として、正常肝、ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)における肝内の全神経線維と交感神経線維の量を検討した。 肝疾患では正常肝と比較して、全神経線維・交感神経線維ともに減少していた。ALTが高値の群、線維化が進行した群では、神経線維が減少する傾向にあった。血糖や脂質の値による比較では、神経線維量に明らかな差はなかった。 糖代謝や脂質代謝との明らかな関連を示唆する根拠は得られなかったが、肝疾患においては肝内自律神経線維が減少しており、何らかの傷害を受けていることが示唆された。
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