研究の結果,以下の事柄が明らかとなった。(1)地下水や湧水のECの濃度から,海水浸水による影響は殆ど残っていない。(2)水質組成ではCa-HCO3型が多いが,その他の水質も確認された。(3)南相馬市沿岸域の地下水や地面下から湧出する湧水の一部で,Na-HCO3型の水質組成を示し,SiO2濃度は相対的に高く,酸素・水素安定同位体比は相対的に低い値を示すことから,これらの水は比較的標高の高い阿武隈山地周辺地域で涵養され,沿岸に近い台地周辺で涵養された水よりも滞留時間は相対的に長いことが予想される。(4)トリチウム濃度分布から,地下水や湧水の多くで10数年~30年程の滞留時間であることが推定された。
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