研究課題/領域番号 |
26870072
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菊池 由葵子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90600700)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム / 社会的認知 / 顔 |
研究実績の概要 |
定型発達者では、アイコンタクトのある(正面向きの目の)顔は、社会的認知に影響を及ぼす。たとえば、動画中のモデルの手の開閉を見ながら、自分の手を開閉する課題では、モデルの視線が正面向きの条件のほうがよそ向きの条件より、模倣が促進される。一方、対人コミュニケーションに困難を抱える自閉症スペクトラム者では、定型発達者にくらべると他者の顔や視線に対する選好が弱い。また、自閉症スペクトラム児では、無意味な手のポーズの模倣に困難を示し、対面した状況では、逆さバイバイのように、手を裏返して模倣する頻度が高いことも知られている。 今年度の実験3では、動画中のモデルの顔が見えている条件と顔が見えてない条件において、小学生の自閉症スペクトラム児と定型発達児を対象に、手のポーズの模倣課題を実施し、課題中の注視データを計測した。その結果、先行研究と同様に、定型発達群のほうが自閉症群より、手の形、手の向きともモデルと一致した模倣を行った。また、自閉症群も定型発達群も、モデルの顔が見えている条件のほうが、顔が見えてない条件より、手の形も、手の向きもモデルと一致した模倣だった。よって、動画中のモデルの顔が見えていると、自閉症スペクトラム児も定型発達児も、モデルの手の動きと一致した模倣が促進されると考えられる。 今後は、課題中に計測した注視データから、モデルの顔や目の領域への注視時間と模倣成績の関係について検討するため、実験参加者数を増やす必要がある。また、これまでライブ呈示で行った実験1と動画呈示で行った実験2の結果とあわせて研究成果をまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国際学術誌に投稿するため、実験参加者数を増やす必要があるので。
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今後の研究の推進方策 |
実験参加者数を増やして、模倣や顔に対する注意などの社会的認知とアイコンタクトの確立との関係を引き続き検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験を継続して行う必要があるため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験に関わる物品費、国際学会等での発表や研究打ち合わせのための旅費、実験協力者への謝金、雑誌への投稿料や通信費などに使用する予定である。
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